NON JOHNの酒の肴#4 四方平等の1合とっくり"Bureiko(ブレイコウ)"のご紹介

NON JOHNの酒の肴#4 四方平等の1合とっくり"Bureiko(ブレイコウ)"のご紹介

2024/2/20

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    このnoteは「to savor alcohol more(より深くお酒を味わうために)」をスローガンに活動するガレージブランド NON JOHN の活動やお酒に関するあれこれを発信するものです。このニュースレターを読んで、粋な酒客を共に目指しましょう。 ウェブサイト: non-john.com
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    🍶 NON JOHNの酒の肴#4 四方平等の1合とっくり"Bureiko(ブレイコウ)"のご紹介

    前回はYoinokuchiという日本酒の酒瓶用の注ぎ口をご紹介しました。 今回はNON JOHNがデザインしカタチにした1合とっくりをご紹介します。
    名前は"Bureiko"です。
    前回ご紹介したYoinokuchiと似た形状で、キレがよいです。似た、というか実は、Yoinokuchiの前にこの試作品がありました(試作品を使っていた時にメンバーの一人が「これを酒瓶につけられるようにしたら」と発案してYoinokuchiが生まれました)。
    Appleで後にiPadと呼ばれるタブレットデバイスを開発していたら、スティーブ・ジョブズがそれを見て「これ小さくしたら電話にできるじゃない」と言ってiPhoneが生まれたという経緯と同じです😎
    デザインは、元々四人卓用のとっくりを作りたい思っていて、「卓を囲む誰もに注ぎやすい」にというコンセプトはありました。どういう形にしようかと考えていた時に、東京で開催されていたガウディ展に足を運ぶ機会があり、そこで目にしたのがサグラダファミリアで使われているガウディの柱でした。 以下にこの柱の説明があるので引用させていただきます。
    "サグラダ・ファミリア聖堂の柱は樹木の形をベースとしていて、主要な柱は下から上に向かって8角形、16角形、32角形、64角形へと変化していくように考えられています(図11、12)。こうすることで強度が増し、上からの重量感を軽く見せる効果があるのです"

    この徐々に多角形から円に変わるデザインをみて美しいなと思い、また角があれば注ぎやすいのでは、ということは四人卓だから四角だな、ということでそれらを合わせたらこの形になりました。
    ガウディの柱とは逆で底部が円、上部が多角形(四角)という形状になり、四角の辺はゆるい弧を描いています。
    Yoinokuchiにも受け継がれているキレの良さ(液垂れ低減)もあり、当初の意図通り四方にも注ぎやすいプロダクトができました。
    名前は、誰でも誰にでも注ぎやすく、立場の上も下も右も左も関係ない楽しい場になるようにという思いから、Bureiko(「無礼講」)としました。
    こちらも3月に予定するクラウドファンディングのリターンとしてご用意していますので、ぜひ応援購入お願いします。

    📕 肴のオマケ:知ってると味わい深い。5分で読めるお酒の歴史

    スポーツ観戦を楽しむのに大事なこと。それはストーリーではないでしょうか。応援チームの、選手個々人の、自分とそのスポーツのストーリー。それは愛着や、背景の解像度が上がるということ。解像度が高ければ、そうでない人より多くの感動と深い体験や思い出ができるでしょう。
    きっとお酒も同じです。
    私もNON JOHNに関わるようになってからお酒をもっと知ろうと思い、こうやってnote/ニュースレターのためにも学んでいるところ。一緒にお酒への解像度を高め、より深い酒の味わいをみつけましょう。
    ということで、今回のオマケはどのようにお酒を作る技術が発展し、どのように色々なお酒が生まれていったか、おおまかに捉えてみたいと思います。難しい話はないのでお酒を飲みながら気楽な気持ちで読んでください。

    お酒の起源

    これは考古学的な証拠がないので推測でしかないのですが、人類が最初に口にしたお酒的なものは、果物や穀物やハチミツが発酵したものと考えられています。発酵したものからしみだしてきた液体がアルコールの香りを漂わせ、おいしそうに思って呑んだらこれはイケる、と味をしめたのでしょう。これを再現するための努力が酒造りとなりました。

    お酒の3大ルーツ。黄酒、ビール、ワイン

    まず世界で最初に作り出されたのは醸造酒です。 醸造酒とは、要は「糖分を酵母にアルコールにしてもらったお酒」です。お酒の始祖といってもいい3つのお酒がこちらです。 黄酒(ホアンチュウ) 長江付近で誕生した米から作るお酒。
    9000年以上前から飲まれていたらしいです。米のデンプンをカビ(麹)に糖に分解してもらって、その糖に投入された酵母がアルコールにすることでつくられます。中国からアジアに伝播して、日本に伝わったものは色々なものと組み合わさって日本酒として進化します。
    ビール チグリス・ユーフラテス川あたりで誕生した麦から作るお酒。
    8000年以上前から「飲むパン」として口にしていたようです。麦を発芽させることで麦自体が芽に栄養を与えようと自らデンプンを分解して糖にしたところを加熱して芽の成長を止めます。そして芽の成長に使われる予定だった糖を酵母がアルコールにすることでつくられます。
    ワイン チグリス川の西側の中東(いまのジョージアやイラン)あたりで誕生したブドウから作るお酒。
    ブドウの皮には酵母が付いているので、果汁を皮ごと搾って保管しておくと、ブドウの糖を酵母が(以下略

    お酒造りは大きな川の近くで発祥しています。大きな川の近くは農業に向いています。つまり、お酒造りは人類が農業をはじめたことと深い関係があるのです。それぞれの地域で当時育てやすかった植物が原料になっていることから、発端としては農耕で蓄えた穀物や果実を保管してたらお酒ができていたのかもしれませんね。
    ちなみに、人類が農耕をはじめたのは、およそ1万年前に氷河期が終わり地球が暖かくなったからというのも理由のひとつのようです。地球と太陽の関係がお酒づくりの遠因となっていることを思うと太陽への感謝の気持ちが溢れます。
    これらのお酒は、何千年も前、それぞれの交流がおそらくなかった時代に、独自に誕生したと思われることからも、農業を始めた人類がお酒を飲むようになることはもはや宿命なのかもしれません。抗わないで。

    お酒禁止なイスラム世界が蒸留酒を生んだ?

    人類が醸造酒を楽しみ始めて数千年、時は12-13世紀、ブレイクスルーが起きます。蒸留技術です。蒸留は熱を加えることで水と水より沸点の低いアルコールと分離し、アルコール度数を高める技術です。
    蒸留技術は紀元前の古代バビロニアや古代ギリシアからありました。当時は薬を作るための技術だったようですが、酒造りにつながる技術発展は、お酒禁止のイスラム文化で起きました。12-13世紀当時のイスラム世界は群雄割拠の戦国状態でしたが経済的にも文化的にも世界最高レベルでした。
    このイスラム世界で古代より受け継がれた蒸留技術が発展します。8-9世紀頃から「鉛を金に変えたい!」とか「賢者の石つくりたい!」と、当時は大真面目に研究されていた錬金術の一環としてその試行錯誤が始まります。
    この成果が、11-13世紀の間で起きた十字軍 vs.イスラム世界の衝突や東西の交易でヨーロッパにもたらされます。
    当時のヨーロッパの人たちはビールやワインを日常的に飲んでいて、船で輸送したりしていました。錬金術用・製薬用として伝わってきた蒸留技術を知ったヨーロッパの人たちは
    「この技術でワインを濃縮して現地で水で戻したら輸送できる量が増えて儲かるやん」
    と考えたわけです。そこで生まれたのが焼きワイン(Brandewijn)が語源の「ブランデー」です。薄めるつもりだったのが飲んだらうまかったので結局そのまま楽しまれたそうです。

    カードは揃った。地域がお酒に溶け込んでいく

    醸造技術 × 蒸留技術の組み合わせは酒を進化を加速させました。地域ごとのデンプンをふくむ(=糖が採れる)作物や果糖の豊潤な果物の採れやすさによって多くの種類のお酒が生まれてくることになります。
    ウォッカ ウォッカは、土地柄収穫しやすいライ麦や小麦などの穀物を原料とする蒸留酒としていまのロシアの地域で誕生しました。
    12世紀頃には一般的に飲まれていたらしいので、その起源はもっと前だと思われます。その地域はイスラム圏に近かったので技術の伝播がヨーロッパより早かったのかもしれませんね。当初は蒸留技術の正統利用法の薬用の消毒剤としてのアルコールをつくっていましたが、後に飲用目的で広まりました。 ウォッカの名前がロシア語の「水」を意味する通り、ロシア人のウォッカの純度に対する情熱はすさまじく、幾たびもの濾過(ろか)を通して得られるほぼ水とアルコールの無色透明さがウォッカの特徴になりました。
    ウイスキー スコットランドでは麦から作られるウイスキーが誕生しました。12-13世紀頃だと言われます。
    ビールと同じく麦を発芽させてデンプンを糖化し、その後発芽を熱で止めることで糖が芽の生育で消費されないようにします。 その熱源として、スコットランドではピート(泥炭)が豊富にあるのでピートを燃やし、アイルランドでは石炭が豊富にあるので石炭を燃やしました。そうすることでスコッチウイスキーはあのピートの香りが特徴となり、アイリッシュウイスキーはスッキリした香りになったのです。
    焼酎 日本では九州地方で15-16世紀頃、日本酒を蒸留してつくる焼酎が生まれました。

    当時九州は薩摩の島津や豊後の大友で有名なように南蛮貿易が活発だったのでその中で蒸留技術も入ってきたと思われます。最初は米(日本酒)ベースでしたが、そのうち芋・麦・黒糖などでつくられるようになり、いまのバラエティ豊かな焼酎文化が花開きました。
    バーボン 新大陸では18世紀にバーボンが、当時のケンタッキー州バーボン郡で生み出されました。
    この地域は気候的にトウモロコシがよく獲れるところで、たぶん移民の誰かがトウモロコシでウイスキーをつくってみようと思い立ったのでしょう。ナイスアイデア。 ちなみにバーボン郡という名前はアメリカの独立戦争で独立を支援してくれたフランスのブルボン朝を称えてバーボンという名前になっています。
    他にもシードル、ラム、ジン、テキーラなどなど(別の機会で一つずつ掘り下げてみようかと思います)。これまで数多のお酒が誕生し、そしていまもより旨い酒を目指す人たちの手によって生まれ続けています。



    いかがだったでしょうか。我々ホモ・サピエンスは少なくとも9000年以上お酒づくりに心血を注ぎ、多種多様なお酒を生み出してきました。あなたがおいしいと味わっているそのお酒は、良い酒がつくりたいという向上心のたまものだったり、地域にあるものでなんとかしようとした試行錯誤の末の結果だったり、はたまた偶然が生み出した幸運だったりするのです。
    お酒のうまみを感じるとき、なぜこのような味わいになっているのか、先人たちのお酒への情熱に思いを馳せながらグラスを傾けるのも、また一興なのではないでしょうか。
    それでは今宵も適度な酒量で楽しい時間を🥂

    📅 今後の予定

    クラウドファンディング準備中 準備が間に合えば3/4に開始することになりそうです🏃‍♀️いま頑張って用意しています。
    3/7 サウナの日、大分県大分市の祝祭の広場にて出展します。酒器の展示やTシャツなどを販売予定です。お酒を飲むならサウナに入った後にしてね。現在Tシャツを準備中。 🍺 🍺 🍺
    ここまでお読みいただきありがとうございました! このニュースレターへのご意見・ご要望がありましたら以下からお寄せください。NON JOHNは褒められて伸びる特性ですので、できるだけポジティブな内容で、ご批判や誤りの訂正等がありましたら優しい口調でお願いします!
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